
灘中学・高等学校・和田孫博氏に聞く「30年後に求められる人材」
灘中学校・高等学校の和田孫博校長、ダヴィンチマスターズ保護者向け講演会より
2018年4月22日に神戸大学(兵庫県神戸市)で開催された「第7回 ダヴィンチマスターズ」では、小学校1年生から3年生までの子どもを対象にした、ゲームや実験を通して科学や数理への興味を抱くきっかけ作りの場を提供する様々なプログラムが展開。同時に、保護者向けに特別講演会「子どもの好奇心の伸ばし方」が開催され、灘中学校・高等学校の和田孫博校長、LLP ASOBIDEAの山田力志代表、SAPIX YOZEMI GROUPの高宮敏郎共同代表が登壇し、教育に関する様々なお話をお聞きすることができました。ここではその模様の中から講演会冒頭に登場した、和田校長のお話をお届けします。
和田校長「主体性・多様性・協働性は私学が培ってきた力」
灘中学校・高等学校 和田孫博校長(以下、和田校長)2018年の4月から、兵庫県私立中学高等学校連合会の副理事長に就任したのですが、そうした立場からも、私立には多様な学校があるということを、灘中学校・高等学校を例に挙げながら、お話ししたいと思います。
まず私立中高一貫校の魅力として、「主体性・多様性・協働性」が育みやすい環境があることが挙げられます。文部科学省は大学入試改革の中で、「主体性・多様性・協働性」は、これからの生徒たちに求められる学力の一つとしています。
主体性はつまり生徒自身が主体的な力で取り組むということ。多様性は一人の人間のなかにある多様性と、世の中にはいろんな人がいるという多様性の両面で、自分の個性も他人の個性も認め合うということ。それが例えば様々な学校があるといことを認め合うことであり、ひいては様々な国があって当然だと認め合うことにつながります。そして「自分や自国こそが一番」と主張し合うのではなく、協働していこうという力が求められると、文科省でも定 義しているわけです。
公立では均質な授業が求められますが、私学では各学校に特色がある。そう考えるとこの主体性・多様性・協働性はそれこそ私学がこれまで培ってきた力と言えます。
少子高齢化による社会構造の変化で求められる能力が変わる
和田校長)今のお子さんたちが社会人として活躍する20~30年後の日本では、少子高齢化がますます進み、社会構造もこれまでとは全く変わってきます。
例えば今までは、ライバルがたくさんいる中で競い合い、社会の成功者として“勝ち組”が生まれる仕組みがありました。しかし今後目指すべきは人口が減少しても持続可能な社会で、そのためには助け合いが必須です。
