
感じたこと、思ったことを書き出し 人に伝える “言葉” にしよう!
書籍『「言葉にできる」は武器になる。』著者、「世界は誰かの仕事でできている。」
コピーライター 梅田悟司さんインタビュー!
2018年11月23日(金・祝)に学習院女子大学で開催した「第11回 ダヴィンチマスターズ」で大好評を博した「表現力を高める、思考力の鍛え方」についての講演をされた、書籍『「言葉にできる」は武器になる。』『気持ちを「言葉にできる」魔法のノート』の著者で、横浜市立大学客員研究員・コミュニケーションディレクターの梅田悟司さんに、「T字型思考法」を用いた子どもの思考力の深め方、子どもとのコミュニケーション(伝え方)について、お話をお伺いしました。
感じたこと、思ったことを書き出し人に伝える “言葉” にしよう!
ー 書籍『「言葉にできる」は武器になる。』『気持ちを「言葉にできる」魔法のノート』で紹介されている「T字型思考法」は、子どもと一緒にやると楽しみながら、自分の本当の気持ちに気がつくことができるなと思いました。実際に全国でワークショップも開催していますが、ワークショップを体験された方からの感想にはどのようなものがありますか?
夏休み中のワークショップが多かったので、「読書感想文を書けるようになりました」という感想をたくさんいただきました。今までは「おもしろかった」「つまらなかった」や、読んだ本の説明で終わっていたものが、自分の思ったことを書けるようになったそうです。

「T字型思考法」は自分の “内なる言葉” からテーマをひとつ決め、そのテーマについて「なぜ?」「それで?」「本当に?」とテーマについて連想と深化を促す思考法です。文字として書き出すことで、自分はこんなことを考えていただんだ、という気づきがあります
感想文なので、やはり大事なのはそのストーリーから何を感じたか、そこで自分はどう思ったかですよね。でも教え方を知らないと「こう書いたらいいじゃない」と、答えを出しがちです。
でもそうではなくて、子どもが感じていることや、考えたことの要点を整理してあげたり、子どもが要点を整理できたうえで、どういう順番で書けばいいのか、ということを教えるのが、親御さんの本当の役割です。子ど もから感想を聞き出してから文章化するという流れが大事です。
そもそも、感想を1行目からちゃんと書くって、大人でも無理ですよね。だから自分の中にある感じたこと、思ったことを書き出して、それらの要素をまとめるということが大切ですね。
ー 材料がなければ何も書けないということですね。
そうなんですよ。情報が何もないのに何か書けって言われるのはけっこう酷なことで、書くことが嫌いになる一番の理由だと思います。だからもっと自分の中に何があるのかに気が付こう、堀り出そうということをやったうえで、出てきた中のいくつかを文章にしたらどうなるんだろうねと、順番に考えてあげる必要があります。教育の場でも家庭でも、そのように変わっていくといいなと思っています。

真面目な親御さんは、お子さんに書かせようとしますが、書かせようとすると、子どもは書くことに集中し、深く考えなくなります。親御さんはお子さんに問いかけて気持ちを聞き出し、メモをとってあげる方が子供は考える事を深めていけます
「伝える」言葉と「考える」言葉「考える」ための言葉を意識
ー 実際に自分でも「T字型思考法」をやってみて、“よく考える” ということが、どういうことなのかが、よくわかりました。考えているようで、実は考えていないということを実感しました。子どもの頃も「よく考えてからやりなさい」と言われていましたが、考えてみると、そのやり方は教わっていませんよね?
「言葉」には2つの役割があって、「伝える」ということと、「考える」ということです。そして、“「考える」ための言葉” というものをどれだけ意識できているかというのが、とても重要です。
頭の良い人は、独り言を言いながら、考えていることを言葉として理解することで、それで自らの考えをさらに深めています。なので、頭の中で思ったことをイメージや動画のようなものではなく、「言葉」として認識し、それをT字型思考法のようなものを使いながら、さらに考えを深めたり広めることによって、“よく考える” という状態をつくっていくことができます。
ー 梅田さんのおっしゃる「言葉として理解する」というのは、頭の中で、考えていることを文字にして認識するということですか?
そうです。言葉を文字にします。言語化する弊害というものもあるとは思いますが、理論的に物事を考えたり、思考力を深めるということだけで言うと、「自分が今思っていることって何だろう?」ということを自分で意識することがすごく大事で、そのために文字に変換するんです。
だから楽しいときは「楽しい」、おもしろいときは「おもしろい」と感じればいいんですが、あの「おもしろい」という感覚はなんだったんだろう、という振り返りをぜひ親御さんは一緒にやってあげて、その際には思ったことを頭の中で文字として認識させるようにしてください。

「第11回 ダヴィンチマスターズ」で開催した梅田さんの講演「表現力を高める、思考力の鍛え方」には、たくさんの親御さんが参加。熱心に耳を傾けていました
問い詰めたら、子どもは答えない答えやすい質問をしてあげる
ー 大人もですが、「ヤバイ」とか「かわいい」で何でもすませてしまいます。ひとつの言葉に状況にあわせて異なる意味を持たせるというのは、それはそれでおもしろくはありますが、他の表現を考えてもらうようにするには、どうしたらいいでしょうか?
「そうだね、ヤバいよね」って同調してから「そのヤバいってどういう意味なの?」って聞くといいかもしれませんね。最初から「どういう意味?」って聞くと拒絶された気持ちになりますし、「ヤバいじゃわからないから、もう少し説明して」と言うと「なんでわかんないの? これってジェネレーションギャップだね」となってしまいます。まずは同意したうえで、「そのヤバいってどういう感じなの?」と、向こうにあわせていく感覚が必要ですよね。
あと、とても大事なのが、“答えやすい質問をしてあげる” ということです。「ヤバいって何?」って聞かれるとわからないんですよ。「そのヤバさはどんな感じなの?」にするとちょっと答えられるじゃないですか。なので、答えを求めようとするんじゃなくて、考えやすくなる「問いかけ」をしていくのがいいですね。
ー 答えやすい質問をするというのは、親の方も学びが必要ですね。どうやって質問したら子どもは答えやすいかなと。
そこは親が気をつけてあげたいところです。問い詰めるように聞くと答えなくなってしまうので、彼らの言葉で答えられるような質問をすることで、はじめて、子ども本人も自分の気持ちや思っていることに気が付くということが、起こっています。

「今日の講演でも「T字型思考法」をやっていただく際、「テーマは自分が答えやすいものに」とお伝えしました。杓子定規なテーマにしてしまうと、答えられなくなってしまうんです。答えやすいように、質問を設定してあげることはとても大事です」と梅田さん。テーマを設定した参加者の方は、みな熱心に「T字型思考法」に取り組んでいました
片付け・勉強、やってもらうには行為の先の “未来” も語る!
ー 小学生のお子さんをお持ちの親御さんが困っていることに、何度言っても子どもがわかってくれない、言うことを聞いてくれない、ということがあると思います。一般的には「片付けをしなさい」「勉強しなさい」になってしまうと思いますが、これを子どもが自発的に行なうようになる言葉や伝え方はありますか?
片付けるという行為ではなく、その先に何があるか、ということを常に一緒に考えながら話すことが大事です。
本にも書きましたが、『星の王子さま』の著書サン=テグジュペリの言葉で「船を造りたいのなら、男どもを森に集めたり、仕事を割り振って命令したりする必要はない。代わりに、広大で無限な海の存在を説けばいい」というものがあります。大海があるという事実と、そこに想いを馳せる力を与えれば人は自ら動き出すというもので、これは “その先に何があるか” という未来を伝えています。“それをやった結果、何が起きるか” 、それをセットとして話をすると、ちゃんと応えてくれると思います。
そしてこれは逆説的に言うと、親が、“その結果、何が起きるのかを想定できていない” ということなんです。
たとえば掃除なら、「●●ちゃんが掃除してくれたら “お母さん助かるな”」と言うだけで子どもの対応は全然違うと思うんです。「ここをきれいにしたら、“●●ができるようになるよね”」とか、掃除という行為を “やれ!”、ではなく、このために掃除をしましょうと、そしてその結果何が起きるかを見せてあげる必要があります。

「やりなさい」という言い方では、「やりたくない」「このままでいい」「やる意味ないじゃん」「散らかってた方が落ち着く」などととなってしまいます(笑)。親がちゃんと未来を言葉にできる、ということが大事ですよね
ー 勉強についても同じですか?
